気が重いが大切なこと。 wizzplanning, 2006年10月7日2024年3月31日 気が重かったが、あるクライアントの社長に大切な話をしに行った。 企業の広告を請け負って制作するのは広告代理業という仕事で、なぜ広告代理店が存在するかというと、その企業では目的に合うようなコンセプトとクオリティの高いものが出来ないから。出来るのなら、社内でやるのが勿論一番よろしい。 大企業は社内エージェンシーとして専属の部署を持っているところもあるが、これは一長一短有り、「手」が変わらないことはマンネリにも繋がるので、より多くの引き出しを求めて外部に依頼する場合もある。 自分がサラリーマンだった時は、広告主側だったが、広告代理店が面白いものを創ってくれなかったので途中から自分で創っていた。社内エージェンシーという言葉なんて知らなかったが、やっていることはそのまんまだった。 今日の話に戻ると、自分が何年も(約10年)広告宣伝企画制作を担当させて頂いていた企業が、少し社内でやりたいので専属に社員を雇ってやらせてみるということになり、自分の立場は、彼を温かく見守ってやってくれないか、という話になっていた。10年間には、ものすごい他社(印刷会社)からの直接の営業攻勢もあったが、デザインは三分一さんに全て任せてあるから、という社長の心意気に応えようと、それこそ命を削ってやっていたので少し複雑だった。デザインのクオリティ、企業イメージもかなりのところまで持ち上げたという自負もあった。 その一方、オレもココに関しては卒業かな?という気持ちにもなっていた。10年間に創ったモノは数百種類のチラシやDMや新聞広告、キャンペーンビジュアル、ホームページetc. いくら引き出しが多くても、全く同じモノを創らずにアイデアを捻りだすことは至難の業、他に任せることの出来る若いデザイナーがいたらバトンタッチした方がいいのかも…とも思っていた。 ところがプロのデザイナーでも何でもない素人に任そうというので、そりゃ絶対絶対無理!絶対が10個ぐらい付く。かなりテンションが下がり、この数ヶ月、本当に何もせず見守ってきた。そして数日前ホームページを見て、本当に椅子から転げ落ちそうになった。申し上げにくいが、社長には正直に現状をお話しした。仕事が欲しいわけでもなんでもなく、もう現時点で、かなり取り返しのつかない状況になっていること。仮に今は売り上げが順調かもしれないが、企業ブランドがモノを言う業種だけに、一旦イメージを落としてしまうと、本当に取り返しのつかないことになること。 昨日までインターンでウチで研修をしていた学生にも話したが、デザイナーとはモノを創って終わりではなく、創る前にはマーケティングリサーチ、コンセプトの確立、ターゲットの選定等いろいろ視野に入れながら、創った後の結果、どうなったか、売れた要因、なぜ売れなかったのか、まで面倒見なければならない。そこに「勉強中だから」とか「社員を育てるためだから」とかの理由は入る余地はなく、結果を出さなければ淘汰されるのがプロだから、命がけでやっている。 と、いう主旨の話をした。 パソコンの普及で、こんな事例はいっぱいあるだろう。 未分類