審査会の方法。 wizzplanning, 2015年9月2日2024年4月9日 自分も過去に「デザインの専門家」としてシンボルマークや市章の選考委員を経験し、コンペの審査に何度も立ち会った。 [一般的なデザインコンペの審査手順] 一般公募して応募作品が数百~数千点もある場合→ _一次審査として2~3名のデザイナーで案を100点程度まで絞る。 _二次審査はデザインの専門家以外に、有識者や市民の代表者を加えた選考委員(10名以上)で投票をする。ひとり3点から5点を選んで投票。 _-A 協議による最終審査: 最終的に投票で選ばれた上位10点程度の作品について、選考委員全員で協議をする。 この協議による最終審査で怖いのが、『声が大きい審査員の意見に全員が引っ張られてしまう』こと。声が大きいとは、実際に大声で意見を言うのではなく、デザイナーで言えば経験が多い者、デザイナー以外で言えば役職であったり社会的な立場が上の者。審査を勝ち抜いてきた作品は全て一定以上のクオリティーを持っているので、あとは審査員の「好き嫌い」で決まるのである。声が大きい審査員が「この作品はこういうところが優れている、私はこれが好きだ」と言ってしまうと、どうしてもその意見に他の審査員は引っ張られてしまう。違う意見を持っていても言えなくなるのだ。 まさにオリンピックシンボルマークの審査がこれだと思う。 一般の人があれだけボロカスにけなすデザインも、デザインの専門家の意見としては『大胆に黒を使う、力強いデザインだ』という意見を出されたのだろう。「まる」「さんかく」「しかく」だけで構成された単純なグラフィックも、一周回ってデザイン的に考えると「各パーツの配置を綿密に計算された高度なデザイン、展開するときの拡張性が優れている」という評価だったのだと思う。五輪エンブレムの審査委員をみると、日本のグラフィックデザイン界の重鎮である永井一正氏をトップに、完全に序列で繋がっている。そういう中で自由闊達な意見は非常に出にくい、これが審査会の現実。 _-B 一般投票: 最終的に残った3~5案を公表して一般投票させるやりかた。 デザイン的な評価よりも一般的な「目」が優先される。しかも審査に市民も加われるので、そのデザインを選んだ責任も共有できるメリットがある。 今回のオリンピックエンブレムの選考を「デザイナー目線」で決めてしまったことで、もうデザインの専門家の「目」が最良ではないことが日本中にわかってしまった。 デザインには「普通感覚」が必要で、特にこれだけネットが発達した情報社会では、従来のデザイナーの素質も「古い感性では通用しない」ということがバレてしまった。 ちなみに自分が審査委員長として参画した過去のデザイン審査会で、山陽小野田市の市章の決め方の最終審査は_-Bの市民による一般投票を提案して決めた。 未分類