ナベヅル一家の飛行と鳴き声に感激し、活きた情報に感謝 wizzplanning, 2010年12月29日2024年4月1日 仕事納めに、また八代のツルを観察に行ってみた。 自分にとっての「ツル元年」となった今年、来年からも「いのち育む里」のサイト制作の為に八代には何度も取材に来る事になるだろう。 昨日また1羽渡来して8羽(放鳥ツルを入れると11羽)になったので、さぞかし賑やかな感じか?と思っていたらいつもの場所にツルが見えない。 でも今日は監視所周辺でツルを観察されていた方といろんなお話が出来てものすごく勉強になった。 ツルを呼び込む為に設置されたデコイ群。でも今日はこの中に隠れるように放鳥ツルが…3羽 まるで「ホンモノは誰だ」状態だが、理由はこうだ。 八代では、鹿児島県の出水で保護された傷病ツル数羽を移送し、ゲージ内で飼育している。そして元気になったツルを放鳥し、渡来して来た野生のツルと運が良ければ「カップル」になり、そのカップルでシベリアに帰っていき、次の年に子供を連れて八代に渡来・・・というシナリオ。 なかなかうまくいかないそうだが、ゲージで育てられたツルは「なわばり」が無い為に渡来して来た野生のツルにいじめられるのだ。だからデコイの中に逃げ込んで野生のツルに見つからないようにするのだという。本来のデコイの目的とは違うが、デコイがいじめ防止に役に立っている。 外は寒かったが、あまりにもツルのことに詳しい方だったので面白くていろいろ聞きまくった。「役所の方ですか?」と聞いたら飼育員の方だった。女性の方は漫画家なかはらかぜさんの奥さんで、ツルの飼育がしたくて八代に移り住んだんだって。 今まで結構ナベヅルのことを勉強したつもりだったけど、何にも知らなかった…と。 今日教えてもらったことを少し抜粋すると、 ・ツルは1回に必ず2個卵を産んで、4羽1家族で行動する ・その家族も、シベリアに帰った時点で子供とは「絶縁」し、赤の他人になる ・子供は成長すると「青年団」に入る(グループを構成するという意味) ・その青年団のリーダーが渡来の鍵を握っている。すなわち、親鳥が八代に渡来していたツルでも、青年団のリーダーが出水派だったら出水に渡来してしまう ・シベリアへの約900kmの飛行ルートの中継地点が何ヶ所かあり、出水の場合は直線で飛ぶが、八代からの場合は海に落ちないように少し西側に遠回りする ・ナベヅルの羽の数はどのツルも数が決まっている。それぞれの羽に飛ぶ為に必要な役割があり、1枚欠けても飛ぶことができなくなる ・八代に過去一番渡来が多かったのは戦時中の355羽という記録があるが、その時だけ異常に多かった理由は、出水に零戦の滑走路を造る工事をしたのでツルが生活出来なかった ・出水には毎年1万羽以上のツルが渡来するが、八代とはツルに対する考え方が違い、完全に観光目的で見せる為に「ものすごい量の餌付け」をするから。しかし1ヶ所に集中しすぎることには危険がつきまとい、それが現実になったのが今回の鳥インフルの発生 などなど。 そんな話を聞いていたら、10月に渡来した家族が「なわばり」から飛んで戻って来た! 今日はレンズを800mmの超望遠にしたのでピントが合わない!シャッターを切りまくった 着地寸前 着地。はじめてナベヅルの飛行を生で見て、着地した瞬間に「クルゥ~、クルゥ~」と泣いた瞬間に自分も感動して泣きそうになった。 今日は八代に行って寒かったけど本当に有意義な時間だった。 自分の「足」でかせいだ情報は、ネットや本で調べる薄っぺらい情報よりも何百倍も重みがあった。 未分類